2026/02/02
近年、フィッシング詐欺等による証券口座への不正アクセスや不正取引の被害が増加しています。
こうした被害に遭われた場合、税務上どのように取り扱われるのかについては、これまで明確で
ない部分も多く、納税者にとって不安材料となっていました。
このたび国税庁より、証券口座の不正取引被害に関する所得税の基本的な考え方が示され、
課税関係が整理されました。
第三者による不正アクセスにより、証券口座内で株式の不正売却や資金流出が発生した場合で
あっても、原則として当該損失は雑損控除の対象とはなりません。
雑損控除は、災害や盗難、横領など一定の事由に限定して認められる制度であり、証券口座の
不正取引については、これらの要件に該当しないと整理されています。そのため、不正取引に
よる経済的損失が生じたとしても、所得控除による税負担の軽減は受けられない点に注意が
必要です。
不正取引被害に対し、証券会社が不正取引前の口座状態に戻す、いわゆる「原状回復」を行う
ケースがあります。原状回復の方法や範囲は証券会社ごとに異なりますが、この原状回復は通常
の有価証券取引とは性質が異なるものとされています。
そのため、原状回復によって株式や資金が戻された場合でも、原則として譲渡所得等として課税
されないケースがあるとされています。
不正取引により損害が生じた場合、証券会社等から補償金が支払われることがあります。
この補償金については、原則として非課税の取扱いとされています。
ただし、補償の内容や支払の名目によっては、課税関係が異なる可能性もあるため、補償金の
性質を個別に確認することが重要です。
証券口座の不正取引被害に遭われた場合は、税務上の取扱いだけでなく、証券会社の対応内容や
補償の有無、手続の進め方などを総合的に確認する必要があります。判断に迷われる場合には、
早めに税理士などの専門家へご相談されることをおすすめいたします。