2026/02/09
令和8年度税制改正では、特定税額控除規定に関する「不適用措置」が強化され、大企業に対して
設備投資減税の適用要件が厳格化されました。
これまで大企業は積極的な設備投資を行うことで税制優遇を受けやすい仕組みでしたが、今後は
一定の賃上げを伴わなければ適用が難しくなる点が大きな特徴です。
大胆な設備投資減税を活用する場合、単なる投資だけでなく、賃金引上げを含めた総合的な経営
対応が求められることになります。
不適用措置とは、一定規模以上の企業が税額控除制度を利用する際に、賃上げや投資などの条件を
満たさない場合には制度の適用を制限する仕組みです。
資本金1億円超の法人などが対象となり、賃上げに消極的な場合には税額控除を受けられない制度設計
が導入されています。
今回の改正では、この不適用措置がさらに強化され、賃上げや投資の状況によって税制優遇の可否が
左右される仕組みが明確になりました。
改正では、不適用措置の適用期限が2年延長され、令和11年3月31日までとなりました。
加えて、要件の強化として、給与等支給額の増加割合が一定水準に達しない場合などには税額控除が
制限される仕組みとなっています。
具体的には、給与等支給額の増加割合が2%未満の場合や、一定の条件を満たさない場合には、税額控除
の適用が受けられなくなる可能性があります。
従来、不適用措置は研究開発税制を中心に適用されていましたが、今回の改正により対象範囲が広がり
ました。
新たに、地域未来投資促進税制やカーボンニュートラル投資促進税制(CN投資促進税制)など、研究
開発税制以外の制度にも不適用措置が拡大されています。
そのため、幅広い投資促進税制において「賃上げ要件」が重要な判断基準となります。
改正後は、単に設備投資を実施するだけでは税額控除の恩恵を受けられず、賃上げ要件を満たすことが
前提となります。
大胆な設備投資減税を活用する大企業は、賃上げと投資を両立させる経営姿勢が求められるでしょう。
これは企業経営に対して「投資促進」だけでなく「賃金上昇による経済循環」を重視する政策的意図が
背景にあると考えられます。
本改正により、大企業に対しては設備投資計画だけでなく、賃金引上げを含めた総合的な戦略が必要に
なります。
税制優遇を有効に活用するためには、事前に賃上げ計画や投資計画を整理し、要件を満たす形で制度を
利用することが重要です。
今後、設備投資減税を検討される企業は、税務面だけでなく人件費政策も含めた対応を進めることが
求められるでしょう。